SIRIMA




Part of me

80年代末にヨーロッパが生んだ希有な才能の一つとして
記憶されているシリマは、イギリス出身のシンガー・ソングライターで、
幼少の頃をスリランカで過ごし、パリのメトロで歌っているところを
ミュージカルの作曲家であるフィリップ・ドゥルトゥレに見い出され、
デビューを果たすことになった。

しかし、その時すでに彼女は、死の病に犯されていたのだ。

フィリップの呼びかけに応じ、マヌ・カッツェや
ジャン=ジャック・ゴールドマンといったフランス音楽界の俊英が
スタジオに馳せ参じた。
しかし、日増しに彼女の病状は悪くなり、レコーディングの日程は
五月雨のように、その間隔が伸びていった。

そして、前回から2ヶ月ものインターバルを経て、
オーケストラをバックに一発録りされた最期のレコーディングが、
本作"Part of me"である。

その内容はリスナーに向けた彼女の遺言に他ならない。

この音が、詞が、そのひとつひとつがわたしの一部/
どうかこの歌で、わたしのことを覚えていて...

その後、彼女はアルバムのジャケット・デザインを考え、
ヴィデオ・クリップのシナリオも書いた。
ジャケットに載っている曲目やスタッフ・リストは
全て彼女の肉筆によるもので、オーケストラの
ヴァイオリン奏者一人一人に至るまで克明に書かれている。
そして...アルバムがヨーロッパで発売された約2週間後、
すべてを見届けたかのように
パリの病院で彼女は息を引き取るのだった。

もう何も言うことはないわ、わたしは背を向けて去っていく/
明かりを消し、横になって死んでいくの/
どうか...この歌でわたしを覚えていて...

このアルバムを手に入れて10数年、
僕は彼女の情念に魅入られっ放しである。 <fxhud402>


A part of me 1989年  



                   

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