Home and Dry
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やけに派手な音で耳が痛かった”Nightlife”から 一転優しい音作りに変わった”Release”。 その1曲目はボルヴィックの宣伝にも使われた本曲。 哀愁漂うメロディーなのですが、ジョニー・マーのギターをフィーチュアして柔らかい生音っぽいアレンジにしています。 歌詞は飛行機で帰ってくる恋人を待ちわびるという他愛の無いものですが、9.11以降に発表されたものである以上当然特別な意味が込められているのはお分かりの通り。 もう一つ裏読みすると男が家で恋人を待つというジェンダーからの解放(まさに”Release”)を意味しているとも取れます。 まあ人によってはジェンダーって言葉は嫌なのかもしれませんが、ゲイカルチャーでは未だにそんなこと言ってるのってくらいのことらしい。 (2008/6/18) <ところ> |
Release (2002) |
Flamboyant
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"Discography"に続くシングル総集編的アルバムから。 新曲が2曲入っており、哀メロ度はもう一つの新曲である"Miracles"のほうが高い。 でもやっぱりイギリス人らしい辛辣な皮肉が入ってなきゃPSBじゃないでしょう。 この曲はいわゆるセレブな人たちを皮肉った歌。 イギリスではリアリティTVのような素人成り上がり番組の出身者がセレブ扱いされるだけでなく、王室を対象にしてしまうほど(個人的には生まれながらの有名人である王室は気の毒だと思う)の激しいゴシップのお国柄だけにセレブ本人と周りを取り囲むマスコミ両方を皮肉った歌詞となっています。 歌詞を作ったニールは特定のモデルはいないと語っていますが、 ファンの間ではベッカム夫妻やボーイ・ジョージ辺りを腐しているんだろうと考えられています。 ヴィクトリアはともかくデヴィッドは日本では人気がありますが、イギリスでは頭の悪そうな話し方がイメージを落としているようです。 日本だったらモデルは○姉妹でしょうか。でも何処か違うかな… 日本の芸能マスコミは有名人との距離がイギリスよりは遠く感じるところもあるんですよね。 腰が引けているというか批判を許さない空気が強いような気もします。 PSB自身もセレブには違いないのですが、夜遊び好きなクリスはともかく、英国紳士然としたニールにはゴシップは持ち上がりません。 その辺りが人気を持続している秘訣なのでしょうか。 (2010/3/4) <ところ> |
PopArt (2003) |
I'm With Stupid
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タイトルを訳すと「僕はおバカさんと一緒にいるんだよ」という意味になります。 だから曲のアレンジは明るめですが、 おバカな相方(恋人)に付合わされる嘆きが含まれているので当然哀メロです。 イントロはトレヴァー・ホーンが80年代に一世風靡したオーケストラヒットかな? この曲のモデルはブレアとブッシュ。 歌詞の意味が分かると曲調と相俟って「ギャハハ」と笑いたくなります。 PSB本人をパロったPVも必見です。 ( 2008/6/18) <ところ> |
Integral
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初めてこのアルバムを聴いた時「PSBにしてはえらく政治的だな」と感じました。 ”DEDICATED TO MAHMOUD ASGARI AND AYAZ MAEHONI”というスリーヴのメッセージ。 「原理主義」というタイトルのボーナス盤。 ”I'm With Stupid”や”Twentieth Century”の政治的メッセージ。 これまでの彼らの代名詞であった突き抜けたような明るいメロディーの不在。 彼らを単なるポップソングライターと捉えていた人達は吃驚したんじゃないでしょうか。 本作はイギリスで行われようとしているIDカード導入を皮肉った曲。 コーラスからスタートしますが地声を強調したようなキツイ歌い方をしています。 アレンジも”Nightlife”辺りの派手な仕上がりなのですが、 メロディーは決して明るくなりません。 むしろ近未来の管理社会をイメージさせる声と音です。 しかし如何にも悪役が歌っているっていう感じが面白いですねぇ。 ( 2008/6/18) <ところ> |
Fundamental (2006) |
Did You See Me Coming?
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前作の"Fundamental"から3年ぶりに発表されたアルバムから。 本作はとにかくよくまとまっているなという印象です。 彼らの曲を聞いたことのないという人にもオススメです。 全体的に哀メロ度も高いのでもちろん哀メロファンにもオススメします。 この曲は一昔前のA-haが作りそうなくらいキラキラしたポップ・ソング。 歌詞も恋のドキドキ感を歌っていて50歳半ばのオジサンが 年甲斐もなく作った感はあります。 サウンド面で目を惹くのはイントロで流れるジョニー・マーのギター。 ジョニー・マーばかり褒めるのはどうかと思いつつもやっぱり素晴らしい。 スミス時代の音も好きですが、 アレンジャーとして効果的な音を出すのがとても上手いなぁと感じます。 ( 2010/3/4) <ところ> |
King Of Rome
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"Jealousy"以来じゃないか、こんなスロウ・バラード。 ローマ王とはフランス皇帝ナポレオン・ボナパルトの息子ナポレオン2世のこと。 父親と異なり美男子だったそうですが、 退位した父親には会えず、母親は再婚したため孤独な人生を送っていたようです。 結核により21歳の若さで亡くなった彼の人生は悲劇的なものだったといえるでしょう。 歌詞はそのローマ王に仮託した哀しいラヴソングとなっています。 ドラムはおそらく打ち込みですが、雰囲気には合っています。 何より"The Desert Moon,A New Lagoon"という歌詞を思わせるような メロディとブラス、アコースティックギターの音が秀逸。 ( 2010/3/4) <ところ> |
Yes (2009) |
Always
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1996年から2009年までに発表されたシングルB面を集めたアルバム「フォーマット」。 "Alternative"第二弾みたいなものですが、"Alternative"がいかにもB面といった曲 を収録していたのに対して、本作はA面として発表していてもおかしくないようなキャッチィな曲が多く収められています。 かつてPSBのB面といえば実験的なアプローチを志向していたものですが、年を経るごとにそういった冒険をしなくなった証とも言えます。 なので個人的には若干面白味が薄いかなぁと思いつつも、哀メロ的には見るべきものが多いのも事実。 2枚目の冒頭に置かれたこの曲は"Home and Dry"のB面として収録されていたもの。 歌詞を読むとわかるのだけれども場面は秋。あるいは夏の終わり。 それだけでも十分哀メロに成り得るのですが、それに輪を掛けてメロディが哀切。 十分シングルとしてあるいはアルバム"Release"に入っていてもおかしくないところ ですが、"Release"とは曲の雰囲気がやや相容れなかったというのが収められなかった理由だったのかもしれません。 (2012/6/4) <tokoro> |
Format (2012) |
Leaving
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2012年の新作アルバム"Elysium"。 "Elysium"とはギリシア神話における死後の楽園(エリュシオン)を指しています。 そこから派生して日本でのアルバムサブタイトルは「理想郷」となっています。 「理想郷」も間違いじゃないんですけれども、ボクはもう少し重い意味を込めているのかなとも感じます。 アルバム冒頭に置かれたこの曲は意外にもアルバム中では最も聞きやすいものとなっています。 オリンピックイヤーということもあって先行シングルとして発表された"Winner"はやや印象薄。 ボクとしてはアルバム最後に収録されている"Requiem in denim and leopardskin"が不思議な浮遊感のある曲で面白いんじゃないかと思います。 その分両曲の間にある曲の存在感がやや希薄かなぁという感じがします。 聞き込めばまた印象は変わるのかもしれませんが、前作"Yes"ほどには飛びぬけて良い曲はないんですよね。 その中でボクにとっていきなりストライクの哀メロを放り込んでくるこの曲は 90年代の終わりから2000年代初頭にかけての(世間じゃ「癒し」がキーワードになってた頃の)音響系テクノサウンド、といったちょっと懐かしい感じの音になっています。 あるいは80年代のネオアコ勢が90年代に入ってダンスポップに転向したときのようなサウンド、例えばEverything but the girlの"Missing"のようなあくまでもネオアコっぽさは外さないぞ、という比較的抑えた感じのダンスポップを思い起こさせるところがあります。 PSBの曲というとどちらかといえば最先端の売れ線を狙っているようなところがあるのですが、こういう周回遅れなアレンジを上手く消化してくるところにセンスの良さを感じるんですよね。 この記事を書いている時点では2ndシングルとしても発売されるようですが、 まあ売れなかったとしても良い曲なのは間違いありません。 ( 2012/9/21) <tokoro> |
Winner
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前回の投稿から2ヶ月ほど経ちまして、その間じっくりとアルバムを聞き込んでみました。 地味なアルバムだなぁ…という点はあまり変わらないものの、 それぞれの曲は悪いものではないという感じはします。 どのアーティストのアルバムでも聞き込めばそれなりに慣れてくるというのはあるのですが、このアルバムの場合、ファン心理をくすぐるようなところがあるんですよね。 "Leaving"が90〜00年代風だと感じたわけですが、 他の曲だともっと古い80年代の頃に似ていると感じるものもあります。 長いことファンをやっているとどんな新作でもどこかで「以前聞いたことがある」感はあるものです。 ただ今作は前作の"Yes"に比べると既視感はだいぶ強い感じがします。 尖っているのは"Ego Music"くらいでしょうか。 逆にアルバムの中でも「以前聞いたことがある」感が最も強いのがこの"Winner"。 曲としてはごくごく普通のバラード。PSBらしく聞きやすいのがウリ。 とはいえあまりにも聞きやすくて、おまけに最後の盛り上げ方なんてのはあまりにもベタ。 それこそボーイズグループやアイドルに歌わせたら、もっと売れるんじゃなかろうかという感じがします。 ( 2012/12/8) <tokoro> |
Elysium (2012) |
Love Is A Bourgeois Construct
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スタジオアルバムとしては12作目"Electric"からシングルカットされた一曲。 ビートルズなどの変わり者が在籍してきたパーロフォンレーベル買収に伴う自主レーベル設立後初のアルバムということもあり、前作"Elysium"から一年を置かずに発表されたのはファンとしては驚きでありました。 常に最新の音楽シーンを求める彼らのこと、今回も若作り感半端無い出来となっていて、その点でも面食らう所もあります。 とは言え、ブルース・スプリングスティーンのカバー("The Last to Die")やダフトパンクの"Get Lucky"に触発されたやや懐かしく感じる曲もあり、聞き込む度にやっぱりPSBらしいアルバムだなぁと思うこと、多々あります。 イントロのストリングスから歌メロまでに流れる印象的なメロディは映画「英国式庭園殺人事件」で使われたマイケル・ナイマン(映画「ピアノ・レッスン」で有名)の"Chasing Sheep Is Best Left to Shepherds"から翻案したもの。 ( 2014/5/25) <tokoro> |
Thursday
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若手ラッパー、Exampleをフィーチャリングした曲で、"Electric"からシングルカットされたものとしては最も売れた作品。 かつてPSBが80年代に作った曲を彷彿とさせる典型的な哀メロで、ダフトパンクの"Get Lucky"の手法を意識したんでは?と思わせます。 恋をすると木曜日から既に週末のことが気になっちゃうんだ…と思いつつも、相手は自分の思うようにはならない、 って辺りが哀メロにピッタリな歌詞になっているのかもしれません。 ( 2014/5/25) <tokoro> |
Electric (2013) |
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