PET SHOP BOYS





Love Comes Quickly

ペットショップボーイズというと年代によって知っている曲がかなり異なっているように感じます。
80’Sなら”West End Girls”でしょうし、ザウスに通っていた世代なら”Go West”。
2008年現在ならボルヴィックCMの”Home and Dry”でしょうか。
聴きやすい曲を作る彼らの1stアルバムを代表する哀メロといえばこれ。
Neil Tennantの女性的な声は如何にも哀メロ向きです。
確かこの曲日本のアイドルがカバーしていたような気が・・・。
                         (2008/5/30)  <ところ>


West End Girls




2009年、PSBファンにとって大きなニュースといえば、
ニューアルバム"Yes"のリリースとBrit Awardsでの特別功労賞の受賞がありました。
特に特別功労賞の受賞はダンスミュージックの価値がイギリスにおいて正式に認められた証とも言ってもよいでしょう。
ともすればロックに比べ低く見られがちなジャンルなだけにイギリスにおける彼らの人気の高さを伺える出来事であったと言えます。
まあニールはともかくクリスは上から目線で送られる賞には批判的なようでしたが。
ちなみに今年の功労賞の受賞はロビ男君だそうで。
これもまたイギリスらしいところですね。
さて、そんなPSBを世に送り出した切っ掛けとなったのがこの曲です。
イギリスは勿論、アメリカでも唯一No.1を獲得した曲です。
この曲がヒットした85年当時ニールは既に30歳を越えていて、
(現在でも)若者主体のポップミュージックにおいて遅咲きの存在でもありました。
バックに流れるストリングスのようなシンセとニールのやけに冷めたようなラップがどこか鬱屈したイギリスの空を思わせます。
歌詞は悩める青年を描写した内容で、自殺願望、ドラッグ、社会主義(エドマンド・ウィルソンの「フィンランド駅へ」を参照するといいかもしれません)などやや青臭さを感じさせる部分もあり、現実主義で皮肉屋な彼らのイメージとのズレを感じるところでもあります。
                             (2010/3/4)  <ところ>


Firehous (1986)


It's a Sin

”Actually”は私が初めて洋楽をアルバムとして聴いた
(私にとっては)記念すべき作品。
哀メロが多いこのアルバムの中で最も印象的なのがこの曲。
何故か「哀しみの天使」なる奇妙な邦題を付けられてしまった気の毒な曲だが、
一度聴いたら忘れられないメロディーは流石です。
歌詞は「(GAYな)自分はキリスト教においては罪作りな奴です」と
反省する内容だったはず。
ああだから哀しみの天使なのか・・・なあ?
                         ( 2008/5/30) <ところ>


Rent




アルバムからの3rdシングルで地味なメロディながら結構ヒットした曲。
アルバム版はシングル版のアレンジよりも更にシンプルだけれどもそれが良い。
歌詞について古い日本版の解説では「暴君の亭主を持った女性」がテーマとしている一方、インタビューなどでは愛人関係にある人間をテーマにしているとも語っています。
どちらとも取れる内容ですが肝は愛もお金も大事としている点でしょう。
愛があればすべて上手くいく、なんて綺麗事を言わないところにリアリティを感じます。
ちょっとスローなメロディも冷徹な感じがして現実の寂しさが身に沁みます。
                         ( 2010/3/4) <ところ>


King's Cross




曲のタイトルであるキングス・クロスとはロンドンに近い駅の名前。
日本版の解説では浮浪者の溜り場となっていることが語られています。
この歌詞が書かれた当時イギリスはサッチャー政権の新自由主義政策が推し進められていて、一時的に失業者が増大した頃のキングス・クロス駅が描写されています。
救いの無い歌詞が現在の日本とダブる辺りが何とも皮肉です。
労働党の支持者でもあるPSBはアルバムの中で他にもサッチャリズムを批判しているとも取れる描写が多くあります(民営化を批判した"Shopping"やキリスト教教育への批判ともいえる"It's A Sin"など)。
アルバムの最後に置かれたこの曲はそういった裏テーマを提示しているのかもしれません。
                        ( 2010/3/4) <ところ>


Actually (1987)


Domino Dancing

初めてこのアルバムを聴いたときは何て聴きにくいアルバムなんだろうと思ったことを覚えています。
どの曲もそれまで聴いていたモノに比べ、随分長かったからです。
プログレやジャズを聴くようになった今ではあまりそうは感じないんですがね。
曲はラテン・ミュージックをPSB風ダンス・トラックにしたもの。
ラテンミュージックって何故か皆哀メロに聞こえてしまうんですよね。
浮気性の恋人に愛想を尽かすなんていう歌詞も哀メロにピッタリ。
リミックスと言いつつシングルヴァージョンとの違いは後半部だけだったりして。
                         (2008/6/17)  <ところ>


It's Alright

新曲なのにリミックスされているという変わったアルバムのラストナンバー。
この曲はハウス・ミュージックを作っていたSterling Voidのカヴァーで9分以上もあります。
シングルヴァージョンと異なり結構オリジナルに忠実です。
プロデューサーはあのトレヴァー・ホーン。
”Left to My Own Devices”も彼のプロデュースだったので
この頃はハウスに嵌っていたのかもしれません。
オリジナルは女性が歌っていましたがニールが歌うと妙に説得力があります。
まあ、皮肉屋の彼らにはあまり似つかわしくない歌詞ではありますが。
遠くラジオから流れてくるような呟きで終わるラストにはしんみりさせられます。
                           (2008/6/17)  <ところ>


Introspective (1988)


Being Boring

PSB本人たちにとっては良い曲なのに売れなかった曲の代表だそうです。
ファンの間でも最も人気のある作品。
私にとっても最も好きな曲ですが、同時に地味な曲だなあとも思います。
世間が彼らに求めているのはもっとPopな明るい曲なので、
売れなかったのは仕方のないことなのかもしれません。

如何にも打ち込みといった音ではなく生音っぽい作りはこれまでにはなかった特色。
寂寥感の漂う曲にニールの優しい歌声が乗っかります。
特にこの曲では中性的というだけでなく、何か変わった揺らぎのある声をしています。
それが非常に心地良い。
                       ( 2008/6/18) <ところ>


My October Symphony




ちょっと地味な大人しめの曲が多いアルバムからのナンバー。
コマーシャリズムよりも芸術性を強めた本作は個人的には好きなアルバム。
その中でロシア革命をテーマにしたこの曲は
ある意味でニールの教養の高さをひけらかした作品といえるかもしれません。
モデルはロシアの作曲家ショスタコーヴィチで
交響曲第2番ロ長調「十月革命に捧げる」を元にしています。
とはいえメロディは社会主義リアリズムとは全く関係の無い
スローバラードになっています。
後半のワウギターはジョニー・マーの手によるもの。
ラストの物悲しいヴァイオリンソロが良い。
                       ( 2010/3/4) <ところ>


Behaviour (1990)


Where the Streets Have No Name(I Can't Take My Eyes Off You)




U2の「約束の地」とフランキー・ヴァリの「君の瞳に恋してる」をミックスしたカ
ヴァーソング。
U2のコアなファンには申し訳ないのですが、
U2の曲はこれを切っ掛けに聴くようになりました。
それまでは"Sunday Broody Sunday"も"With Or Without You"も興味ありませんでし
た。
当時説教臭い歌詞にはあまり興味を惹かれないし、
ウジウジとした内向的な人間にはアングラなディスコソングのほうが性に合っていま
した。
そのせいかU2は"Achtung Baby"以降のシンセを使った曲はよく聴いています。
U2の原詩は真摯なものですが、それに「君の瞳に恋してる」の歌詞を付け足すと見事に薄っぺらくなります。
おそらくこの皮肉な演出効果は真剣にロックなどを論じているのをみて気色悪ッて思っていたためではないでしょうか(あ、それは私か)。
                         ( 2010/3/4) <ところ>


DJ Culture




人々の記憶から遠く忘れ去られようとしている湾岸戦争を題材とした曲。
若者の間ではリアルタイムで戦争報道に接した人が少なくなっているのではないでしょうか。
開戦当時私はちょうど中学生でスキー旅行に行っていました。
朝テレビを点けたら多国籍軍によるバグダッド空襲の様子が映っていて、
その映画のような現実感のない映像をよく覚えています。
歌詞はそのような衛星放送でリアルタイムで流れる戦争映像や
米軍が勝利しつつもフセイン独裁体制は残り続けた矛盾を詩的に語ります。
ミュージカル調の不可思議なPVも一見の価値あり。
                       ( 2010/3/4) <ところ>


Discography (1991)


Liberation




"Go West"で一躍有名になったアルバムから。
確かに"Go West"はUKチャートで2位になりましたからね…
アメリカ人なら大半の人は知っているであろうゲイソングを
日本のサッカーの応援団が替え歌にして歌っているのを聞いて、
何て日本は平和なんだろうって思われていたんじゃないでしょうか。
そんな曲が収録されていたアルバムはアゲアゲ系の曲が中心でしたが、
この曲は雰囲気の違うしっとりとしたラヴソング。
珍しくストレートな歌詞ですが偶にはこんなのも良いんじゃないかと。
オフィシャルのPVはじっくり見過ぎると目がチカチカするので要注意。
                       ( 2010/3/4) <ところ>


Very (1993)


If Love Were All




PSBが好きだという話をすると時々「××さんってゲイなんですか」と聞かれることがある。
確かに三十路過ぎなのに彼女は居ないし、
山登って避難小屋に泊まるのが好きな人間ですが、
「あたしゃノンケよ」とオネエ言葉で返してやることにしています。

さてアルバムはシングルのB面曲を集めたマイナートラック集でかなり地味です。
その2枚目に収録されたこの曲は劇作家・俳優などとして活躍したノエル・カワードの作曲。
そういえばノエル・カワードもゲイだったとか。
如何にもミュージカル好きなニールらしい選曲ですが、
アメリカのミュージシャンには哀歌として有名らしい。
本来女性が歌うことを前提とした曲なので、
ニールが歌うとゲイゲイしくなってしまう・・・。
                           (2008/6/17)  <ところ>


Jack the lad




かつてボク自身のブログで取り上げ、当時はあまり哀メロっぽくないかなぁと思って投稿しなかった曲。
今聞くと…うん、立派な哀メロだ。

新しいことを改めて書くのも面倒なので、ブログの記事を抜粋すると
「"Paninaro"(1986)のカップリングとして収録されていて、どちらかといえばこの曲のほうがシングル向きだったという感じがします。
ピアノの静かなイントロと洒落た都会的なメロディ、難解な歌詞…。
ダンスポップとして十分コマーシャリズムに訴えるメロディでありながら、敢えてB面扱いされたのは曲のアートな雰囲気が若干地味に思われたからかもしれません。

タイトルの"Jack the lad"とは「自信満々の若者」という意味で、歌詞はそれに対する警句のようなものとなっています。
歌詞にも出てくるアラビアのロレンスと英国・ソ連の二重スパイであったキム・フィルビーはどちらも中東に関わりを持った人物。
ロマンティックなメロディはロレンスとフィルビーの危なっかしい人生に対する警句とは対照的な華麗さをもっており、奔放な生き方への憧れや中東へのエキゾチズムを感じさせるところもあります。」
だそうで。

映画の「アラビアのロレンス」を子供の頃観たときは面白いとは思わなかったけれども、
大人になってからようやく意味が分かったという所は沢山あります。
この曲の歌詞でも"Underneath the blankets for another role"と同性愛を仄めかす所があるわけですが、映画でも似たような情景を思わせるシーンとかもろに男色家の敵側軍人とか同性愛を想起させる場面があるんですよね。
ただそれを直接的でなく、あくまでも仄めかす程度に描く。そういう映画の描写も影響を受けた曲なんだろうなと思います。

そういえばイントロのピアノはPSB自身も認める通り、エリック・サティに影響を受けたものです。
で、そのエリック・サティも映画のロレンスのようにエキセントリックな人物だったわけで。なかなか複層的な作りの曲になっています。
                          ( 2014/5/25) <tokoro>


Alternative (1995)


Before

アルバム”Very”はすっ飛ばして”Bilingual”からの(イギリスでの)ファーストシングル。
”Very”も悪いアルバムではないですが
あまりにも”Go West”のイメージが強すぎます。
一般に人が彼らに求めるのが明るいダンス・ミュージックであることは否定しません。
しかしあの演歌のごとき数々の哀メロチューンを無視しなくてもいいじゃないですか。
”Bilingual”が出たときもラジオではこの曲を流していましたが、
テレビなどでは何故か”Se a Vida e”ばかりが流れていました。悔しい・・・。
アルバム自体はラテンからエスニックまで幅広い音をダンス・チューンにしちゃってます。
この曲も哀メロには欠かせないラテン風です。
歌詞は失恋の歌。といっても中身は怪しげですが。
                       ( 2008/6/17) <ところ>


Bilingual (1996)


I Don't Know What You Want But I Can't Give It Any More




「ナイトライフ」のアルバムからシングルカットされた曲といえば、
日本では"New York City Boy"が有名かと思います。
ヴィレッジ・ピープルに対するオマージュとして書かれた"New York City Boy"も良い曲です。
ただ哀メロという観点からすればイギリスでは最初にシングルカットされたこの曲のほうが相応しいでしょう。
「君の欲しいものがなんなのかわからない。でもこれ以上何もしてあげられない」という歌詞をそのままタイトルにしているように、これは破局(というか痴話喧嘩)をテーマとしています。
アルバムの順からすると"Closer To Heaven"の次に来る曲ということもあって、なんだかなぁ…と混乱させられます。
それ以上に何だかおかしいのがどこか醒めた感じのメロディとニール、クリスによる
コスプレPVです。
PVを見ていると「また欧米人の歪んだ日本観か…」と思わされること請け合いです。
                           (2012/11/31)  <tokoro>


Nightlife (1999)



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