HARRY CHAPIN





Cat's In The Cradle/ゆりかごの猫




権謀術数渦巻く2007年の洋楽界において最大の事件のひとつはこの人の
ライブ盤の日本盤(「ボトム・ライン・ライヴ」)がリリースされたことではないだろうか。
今回紹介する曲自体は大ヒット曲だから、コンピ盤の類に一曲だけ入っていたりはする。
しかし、この人の作品がアルバム単位で紹介されたことは、
少なくともCDの時代になってからはないと思う。

僕がハリー・チェイピンのことを知ったのは、RUN-DMCの三羽烏の一人、
DMCがソロ・アルバムでこの曲を取り上げていたのがきっかけだ。
実はDMCは生まれてすぐに養父母に引き取られた孤児だったのだそうで
(しかもそれをつい最近まで知らなかった)、主にそのことについてラップしている。
しかも原曲そのままのサビの部分を歌うサラ・マクラクランも孤児だったのだそうで、
「もちろんそれを分かってサラに歌ってもらったわけじゃない。
実に運命的なめぐり合わせなんだ」とDMC。

そして、「ゆりかごの猫」がそんな曲の下敷きとなったのも、
この曲が父親と息子のすれ違いをテーマにしているからに他ならない。

"子供が小さいころは仕事に夢中で、何ひとつコミュニケーションをとることができなかった、
でも息子は「パパが大好き、大きくなったらパパのようになりたい」と言ってくれる、
だからいつかきっと一緒に遊ぼうな。

ようやく余裕ができて息子に声をかけると、もう息子はすっかり大きくなっていて、
「ごめん、これから友達と遊びに行くんだ。車貸りるね」

そして仕事を引退した今は、もう息子は家を出ていて
「一緒に旅行なんてしないか」と電話をかけると、
「ごめん、今ほんとに仕事が山なんだ、おまけにチビはカゼ引いちゃうし…
でも久しぶりに父さんの声が聞けてうれしいよ、ありがとう」

あいつ、すっかりあの頃の俺そのものになっちまった…。"

こういうどこにでもあるような話を、ほろりとしたドラマとして
聴かせるのが本当にうまい人なのだ。
                          (2008/6/3)  <fxhud402>


Bottom Line Encore Collection
(1998) 
Verities And Balderdash (1974)


Harry Chapin Official HP


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