GEOFFREY DOWNES





Tears

ジョン・ウェットンに続いてカール・パーマーまで去っていき、
一人になったジェフリー・ダウンズは、ジム・スタインマンのもとで働いていた
ベーシスト、ジョン・ペインをフロントマンに据えてエイジアを再開させるわけだが、
それとほぼ同時に非常に興味深いアルバムが製作されている。
それが、彼にとって二枚目のソロ作になる
アルバム「ヴォックス・ヒュマーナ」だ。

前のソロ・アルバム「ライト・プログラム」はシンクラビアを駆使した描写音楽...
要はインストゥルメンタルだったのだが、本作はそのタイトル通り、
歌ものが大半を占めている。
オリジナルはもちろん、バグルスやイエス時代の曲のリメイクやクラシックの
カヴァーも取り上げられ、ジェフのキャリアの集大成といった感じだ。

そして改めて感心させられるのが、この人の類まれな「哀メロ・センス」である。
思えばあの「ラジオスターの悲劇」に、クラシカルな叙情性を
持ち込んだのはこの人なのだ。
毛筆で一気に書き上げたような、男性的で優美なウェットンの歌心とはまた違う、
クラシックをベースにした繊細で静謐なポエジー。
プログレ・ジャイアンツの陰に隠れがちだったものの、
エイジアのキーマンは彼を置いて他にない。

「ティアーズ」はそんなダウンズ流哀メロが堪能できる一曲である。
あのGTRでヴォーカルを取っていたマックス・ベーコンが素晴らしく甘い声で歌い上げる。
思うに、彼はウェットンに替わるエイジアのフロントマンとして
最終選考まで残っていたのではないだろうか。
この曲をはじめ「ヴォックス・ヒュマーナ」の収録曲は後にジョン・ペインの
ヴォーカルでエイジアのアルバムに入れるべくリメイクされるのだが、
結局いまいちと判断されお蔵入りになっている。
やはりこれはマックスを想定した曲だったのだ。
彼がバンドに入っていれば、「ヴォックス...」がエイジアの復活作になっていたかもしれない。
ちなみに、後年彼が発表した未発表曲集には、
新エイジアのファースト・シングル「フー・ウィル・ストップ・ザ・レイン!?」の
彼ヴァージョンが収められている。

しかし、ジェフはジョン・ペインを起用することを決める。
それはやはり、彼が歌えるベーシストだったからなのだろうが、
本当にそれだけだったのだろうか?
それは、その先の歴史を見てみなくてはならないだろう...。 <fxhud402>


Vox Humana (1992)



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