DAKOTA





Somebody's Hero




世に哀メロの種は尽きまじ。
本来なら見過ごせない特級の哀メロセンスを持ちながら、
未だ哀メロ隊員の捜査網から洩れているアーティストは少なくない。
今回紹介するダコタも、投稿しなくてはと思いつつこの投稿フォームをクリックする時になると、
ケロッと存在を忘れてしまって来た哀メロマスターのひとつなのである(アルツ)。

しょうもない前置きはともかく、本題に移ろう。
ダコタは1980年にデビューして以来今年で約30年のキャリアを数える、
知る人ぞ 知る アメリカン・ロックバンドである。
しかし、その歴史はそんなものではない。
ダコタ…というよりはその中心人物である、ジェリー・H・ルジックとビル・ケリーが
最初にその名を知られるようになったのは1972年、
THE BUOYS(ザ・ブオイズ?)というグループとして「ティモシー」、
そして「ギブ・アップ・ユア・ガンズ」という2つのヒット曲を放った時だった。
この時点でその音楽観はすでに出来上がっていた。
生のストリングスをバックに抒情豊かに切なく、それでいてちょっと土ぼこりの匂いのする、
ジェリーの歌心あふれる世界がそこにあった。

その後も二人は活動を続け、78年にJERRY KELLY名義で再デビュー。
間もなくツア ー に同行していたドラマーの発案でバンド名はダコタに変わり、
チープ・トリック やク イーンの前座にも起用されて、
バンドは黄金時代を迎える。
まだ世の中には70年代の空気が残っていて、
朝に夕に街角のダイナーには暖かみのある"ラジオ・ソングス" が流れていた、そんな時代だ。

しかし、成功の波に乗ったかに見えた裏側では、
ジェリーとケリーの間に入った 亀裂 は止めようがなくなっており、86年にバンドは解散。
ビルはカントリーの世界へ活動 の場を移し、ジェリーは新たなメンバーと共に
シークレット・シティというバン ドを組んで地道に活動を再開した。
しかも、世はMTV全盛期。
ルックスよりも実力派の"ラジオ・アーティスト"には冬の時代まっただ中だった。
更にシーンは彼らの音楽観とは真逆のグランジ・ムーブ メン トへと突入していったのである。
もはや、誰もがダコタの事を忘れ去っていた。

そして、90年代も半ばにさしかかったある日、ジェリーの家の電話が鳴る。
あるレコード会社から、ダコタが解散直前に自主製作で出したデモ集を再発したい、
と いう ものだった。ジェリーは快諾。
ただし、あれはあくまでデモなので…ということで、
以前に同じ曲を現在のメンバーで録り直した完パケ・バージョンを
ダコタ名義で 発売 したのである。

これが予想を越える好評を得た。
世界の心あるロックファンは皆、ダコタの事を忘れていなかったのである。

そして発売された、約11年ぶりのニュー・アルバム「THE LAST STANDING MAN」…
… まさに"生き残った最後のラジオ・ミュージシャン"、ジェリーそのもののタイトルである。
もちろん、その音楽性は全く変わっていない。
THE BUOYS時代は生の弦をバックに し たアコースティックな編成だったのが、
エレクトリックやシンセに変わったに過ぎない。
デイヴ・ビックラー時代のサバイバーを三日三晩トロ火で煮込んだような
メロウな世界が展開される、年期の入ったクルミの佃煮のような一枚だ。
その後彼等は新作を出したりビルと復縁したりしながら、今も活動を続けている。
ジェリーにはぜひ生涯現役で独自の世界を追求してもらいたいが、
言われなくともやってくれるだろ う!
 
                           (2010/10/11) <fxhud402>


Hot Nights




同じく「THE LAST STANDING MAN」から、アルバムのオープニングを飾る曲。
ややアップテンポで、プログレっぽい応酬も見られる。
でもそれだけのこと。
聴いていて思わず胸がいっぱいになってしまう、
ジェリー一流の世界は揺らぐことがない。
脇を固めるメンバーに目をやっても、ギターのリック・マンウィラーをはじめとする誰もが、
ジェリーと同じ道を歩んできた年季の入った頑固な職人達である。
唯一年の若いドラマーは、見て分かるかも知れないがジェリーの息子さんだ。
詞の世界もまた浮世離れしたセレブのそれではなく、
地に足の着いた生活感や家族愛にあふれたものが多い。
今や世界から失われたかに見える"善きアメリカ人"は、
ここに生きている。

                            (2010/10/11) <fxhud402>


The Last Standing Man (1997)




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