COOLIO





I Remenber

この「哀メロ天国」にヒップホップのアーティストを投稿することは
ページの趣旨に対する背信というか、喧嘩を売っているようなものなのかもしれない。
これほどここに書き込んでいる人たちから目の敵にされているジャンルもないからだ。

しかし、そんな人にこそあえて聴いてみていただきたいのが、
今回紹介するクーリオである。
「ギャングスタズ・パラダイス」の大ヒットで90年代に最もレコードを
売ったラッパーだけに、名前ぐらいは聞いたことがあるかもしれない。

西海岸出身のヒップホップ・アーティストの中でも
最年長の一人である彼はペンシルベニアの出身。
幼いころに両親が離婚し、L.A.に居を移すことになるが、
引っ越した先がかの地でも暗黒街で有名なコンプトン。
否応なく街の空気に浸かって育った彼は当然のように犯罪に手を染めることになる。
生きていくために。
クスリの売人とかもやっていたようだ。
しかし、その一方でカーティス・ブロウ等の東海岸から興った
新しい音楽、ヒップホップに魅せられた彼は
79年頃からラッパーとして活動するようになる。
アイス・キューブやイージー・Eといった仲間とのコネクションも生まれ、
85年に初のシングルをリリースするに至るのだが、
その直後に今までの悪事のツケが回ったか警察の厄介になり、
刑務所に服役することに。
しかしその中で彼の中に意識の変化が生まれていた。
出所すると軍隊並みの規律で知られる森林警備隊に志願、
一年間ストイックな生活に身を置き自分を見つめ直す。
そして二枚目のシングルをリリース。
それがきっかけとなってロウ・プロファイルやWC&マッド・サークルと
いったグループを渡り歩いて頭角を現し、
ついに初のアルバム"It Takes a Thief"をリリースするに至るのである。

彼の音楽のスタイルは先述のアイス・キューブら
N.W.A.一派と呼ばれる面々のそれと基本ラインを共用するものの、
その印象はかなり異なる。
N.W.A.一派のラップは常に怒気をはらんでいて過激なメッセージ性を
持っているものの、どこか芝居がかっていることも事実である。
対してクーリオは飄々としたどこかコミカルでさえある語り口で、
その「引きのスタイル」が語られている内容に重いリアリティを与えている。
もうひとつの特徴はサンプリング・ネタに使われている曲の使い方で、
誰もが知っている有名な曲の有名なフレーズをそれと判るように使っていることだ。
「有名曲は隠し味として使う」というこの世界のセオリーをひっくり返した鮮やかさは、
今聴いても色あせていない。

本曲"I Remember"はアルバムの最後に入っている曲。
イントロから繰り返されるアル・グリーンの「トゥモロゥ'ズ・ドリーム」の
ギター・リフに導かれて、
「昔に比べりゃ、世の中すっかりおかしくなっちまった。
 昔を懐かしんでもしょうがないけどね。
 やんごとない理想を掲げるのも結構だが、綺麗なものも汚ねぇものも、
 全部受け止めて俺も仲間も生きていく。
 でも、いや、だから俺は忘れずに覚えてるぜ、
 世界が今みたいに狂っていなくて、雪合戦をして遊んだあの頃を...。」と
クーリオは語る。
そこにかぶるゲストのJ−ロウの渋い喉...
スコーピオンズとは全く次元が違うが、
グッと来る世界が確かにここにはあるのだ。

この後「ギャング達に本当のパラダイスなんてないんだ」と訴えた
「ギャングスタズ・パラダイス」が大ヒットして、一気に彼はトップスターに登りつめる。
以降もそのスタンスは変わっていないが、
あまりにも周囲の環境が変わってしまった感は否めない。
それだけにまず本作"It Takes A Thief"を日本盤の中古を探し、
数々のちんぴらな言動にもあえて目を瞑ってでも聴いていただきたいのである。
なぜなら、このアルバム全体を包む最初の「ロッキー」にも通じる「しがない空気」は、
ひょっとすると貴方の愛してやまない往年のロック名盤に漂っていたものと
同じものかもしれないからだ...。   <fxhud402> 


It Takes a Thief 1994年


C U  When U Get There

現時点での最後のヒット曲である。
もともとはコメディ刑事映画「ナッシング・トゥ・ルーズ」の
サウンドトラックに提供されたもので、後に3rdアルバム「マイ・ソウル」に収録された。

ここでもクーリオは、弟分の40シーヴズ(アリババと40人の盗賊から
取った名前だが、実際は二人組)とともに、
厳しい現実の前に裏町で自暴自棄になり、
心を閉ざして薬や犯罪に溺れる若者たちを諭す。
「俺にはわかってるんだ、お前が本当は心のやさしい奴だってことを。
 ただ、お前には心の準備ができていないだけなんだ...」
そして、サビでは聖歌隊が歌い上げる...
「また会おう、お前がここまで来られたなら、何かを掴んだなら...。」
おまえが自分自身で悩んで苦しんだ末に、
人生に何がしかの確信を得られたなら、その時にまた会おう。
それまでは会わない...
この突き放した愛、強い父性こそこの人の真骨頂。
バックに流れるのは有名なパッヘルベルの「カノン」。
寒風とごみが吹きすさぶゲットーの街角に、
一瞬「路上の教会」が立ち昇る...。  <fxhud402>


My Soul(1997)



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